「ドッグフードはどのくらい食べさせるべき?」「我が家はドッグフードのカロリーが高過ぎる?」
このように、愛犬に与えるドッグフードの量で悩んでいる人はいませんか?
この記事では、愛犬を肥満にさせないために知っておきたいドッグフードの必要なカロリーについて解説します。
一日に必要なカロリーを知ることで、適切なドッグフードの量を把握でき、愛犬の体重をコントロールしやすくなるのです。
犬の体型や運動量などによっても変わってきますが、目安となるドッグフードの量についてまとめました。
犬が肥満になる危険性についても説明しますので、犬の飼育を検討している方も、愛犬の健康を守るためにもぜひ今回お話しする内容を参考にして対策をとりましょう。
愛犬が太るのはなぜ?
「同じ犬種でもうちの子は太り気味……」
愛犬を他の犬と見比べて、このように心配される方も多いかと思います。
愛犬が太る理由には様々な原因が考えられますが、犬の肥満の主な原因は食事です。
具体的な原因を説明しますので、心当たりがないか確認してみましょう。
食事を与え過ぎている
犬は、与えた分だけ食べるという習性があります。
犬はもともと群れで狩りをして捕食する生き物で、必ずしも餌にありつけるわけでは無いため、「食べられる時にたくさん食べ、食べられない場合に備える」というのが本能的に働くのです。
そのため、たとえ満腹になっても飼い主がドッグフードを与え続ければ食べ続けてしまうという犬もいるため、食べ過ぎて太ってしまいます。
運動量が少ない
食事量が多くなくても、歩いたり遊んだりするなどの運動量が少ないと肥満になる可能性があります。
運動量が少ないということは、消費できるカロリーが少ないということなので、余ったエネルギーが脂肪として犬の体に蓄積されてしまい、太ってしまうのです。
散歩が嫌いだったり、室内で動く遊びをさせなかったりすると運動不足になり肥満になる可能性が高くなります。
高カロリーな食事させている
たくさん食事を与える他に、高カロリーな食事やおやつを与えている場合も肥満の原因になります。
主食に対しておやつの回数や量が多かったり、人間が食べるものと同じものを与えていたりする場合は高カロリーによる肥満となりやすいので注意が必要です。
去勢や避妊
食事以外での太る原因として、犬の去勢や避妊が考えられます。
なぜなら、去勢や避妊によってホルモンバランスが乱れるからです。
オスの場合は男性ホルモンの分泌が抑制されることで体に脂肪がつきやすくなり、メスの場合は食欲を抑制するホルモンであるエストロゲンの分泌が減少することで食欲が増進し、食べ過ぎてしまう傾向にあります。
基礎代謝も落ちてしまうので、術前と同じ食生活をすると太りやすくなるのです。
病気
何らかの病気によって太るということもあります。
犬が肥満になる原因として考えられる病気は、以下のとおりです。
-
- 甲状腺機能低下症
-
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
-
- 肝臓疾患
-
- 循環器疾患
もし、食事量が減っているのに太ったり、いつもと同じような食事量なのに急に太ったり、元気がないように見えたら、これらの疾患が考えられます。
放置すると治療が長引くだけでなく、死亡することにもなりかねませんので、気になる場合は動物病院へ早めの受診をおすすめします。
犬が肥満になると起こり得るリスク
人間が肥満になると健康上の問題が起きるのと同じように、犬の肥満も様々な悪影響を及ぼす可能性が高いです。
犬が肥満になると起こりやすいリスクについて具体的に説明します。
ぽっちゃりとした犬は見た目がかわいくもあるのですが、愛犬の大切な健康を守るためにも、危険性を知っておきましょう。
寿命が短くなる
犬も人間と同じように、肥満からさまざまな生活習慣病につながり、健康寿命を損なうとされています。
イギリスの研究(Journal of Veterinary Internal Medicine)によると、太り過ぎの犬は、理想体重の犬と比較して、2年半ほど寿命が短くなる可能性があるという結論を出しているのです。
人間で言うと10年近くの寿命が縮められると言うことになるので、肥満によって愛犬と過ごす時間が短くなってしまうというリスクが高まります。
病気になる
肥満は内臓脂肪が蓄積することによって起こりますが、犬の肥満は様々な病気を引き起こすきっかけになります。
犬の肥満がきっかけで発症しやすい病気はこちらです。
-
- 糖尿病
-
- 関節や靭帯、椎間板の損傷
-
- 心臓への負担
-
- 呼吸の困難
-
- シュウ酸カルシウム尿路結石
肥満になるとそうでない犬よりも、上記のようなリスクが増大すると言うことを覚えておきましょう。
無気力になる
犬の肥満は精神面にも悪影響を及ぼし、疲れやすくなったり、無気力になったりして、寝ている時間が長くなる傾向があります。
本来犬は体を動かすのが大好きな生き物なので、肥満によって活発さがなくなると表情にも現れ、「元気がなくなった」と感じる飼い主も多いです。
遊びや運動量が減る
犬が肥満になると、少し動いただけでも疲れやすくなるため、運動嫌いになる傾向にあります。
体が重くなればなるほど動きたがらなくなり、散歩はおろか、日常生活の中でも動く行為が少なくなるでしょう。
十分な運動ができていないと、消費されない栄養分がどんどん蓄えられてさらに太ってしまうなど、悪循環に陥り、大変危険です。
自分の愛犬は肥満なの?
愛犬が肥満なのかそうではないのか、飼い主だけではなかなか判断がしにくいですよね。
そこで、自分の愛犬が肥満かどうかを確かめる方法について解説します。
愛犬の体型について知ることも肥満の予防につながりますのでぜひチェックしてくださいね。
犬の適正体重は?
犬の適正体重の目安として一般的に
-
- 小型犬…6~10kg前後
-
- 中型犬…11~20kg前後
-
- 大型犬…21〜40kg前後
というのがありますが、犬によっては体格・骨格が大きく体重が必要な場合などもあるため、一概には言えません。
また、同じ犬種だとしても個体差があるので、「この犬種は〇〇㎏を超えたら肥満」というように判断することができないのです。
犬の肥満度合いを「BCS」でチェックできる!
犬の肥満度合いの判断する目安として使用できるのは「BCS(ボディ・コンディション・スコア)」です。
BCSというのは、体型を見たり触ったりして1~5の5段階で体型を評価するもので、自分の愛犬が5段階のどこに当てはまるのかを知ることによって、愛犬の体型を管理できます。
BCSのチェック手順
BCSのチェックの仕方を紹介します。
-
- 犬の体を横から見て、ウエストの部分にどのくらいくびれがあるかチェック
-
- 犬の体を上から見て、腰にどれくらいくびれがあるかをチェック
-
- 犬の肋骨を撫でて、どのくらい骨が浮き出ているかチェック
-
- 犬のウエストの部分を触り、どのくらいくびれがあるかをチェック
-
- 犬の腰の骨を触り、どのくらい浮き出ているかチェック
5段階評価のBCSについては以下で確認しましょう。
BCS 1 | 痩せ | 助骨、腰椎、骨盤が容易に見える。 触っても脂肪が分からない。 腰のくびれと横から見た際の腹部の吊り上がりが顕著。 |
BCS 2 | やや痩せ | 助骨が容易に触れる。 上から見て腰のくびれが顕著で横から見て腹部の吊り上がりも明瞭。 |
BCS 3 | 理想体型 | 過剰な脂肪の沈着なしに、助骨が触れる。 上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。 横から見て腹部の吊り上がりが見られる。 |
BCS 4 | やや肥満 | 脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。 上から見て腰のくびれは見られるが、顕著ではない。 腹部の釣り上がりはやや見られる。 |
BCS 5 | 肥満 | 厚い脂肪に覆われる肋骨が容易に触れない。 腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。 腹部の吊り上がりはないか、むしろ垂れ下がっている。 |
理想体型であれば理想的な食事をとっている可能性が高いですが、「肥満」「痩せ」に該当する場合は食事の与え方を見直す必要がありそうです。
犬の必要カロリーと摂取カロリーについて
愛犬が食事による肥満だと感じたら、普段の食事に対して見直す必要があるでしょう。
その時に大事なのが「カロリー」です。
人間と同じように、犬も摂取カロリーが必要なカロリーを上回ると肥満になります。
これから、愛犬の食生活を見直すうえで大切な必要カロリーや摂取カロリーについて詳しく説明していきます。
必要カロリーとは
必要カロリーというのは、犬が健康に生きていくために必要なカロリーです。
犬が1日に必要なカロリーは、次の計算式で求めることができるので、電卓を使って計算してみましょう。
1日に必要なカロリー(1日当たりのエネルギー要求量(DER))
=安静時のエネルギー要求量(RER)× ライフステージ
安静時エネルギー要求量(RER)の算出方法 ① 体重×体重×体重(愛犬の体重を3乗する) ② √(ルート)を2回押す ③②の数に70をかける
〇ライフステージ(活動係数・エネルギー係数)
犬の年齢 | 係数 |
---|---|
生後4か月以前の子犬 | 3.0 |
生後4か月から1歳までの幼犬 | 2.0 |
避妊・去勢済みの成犬 | 1.6 |
避妊・去勢なしの成犬 | 1.8 |
7歳以上(避妊・去勢済)の中高齢犬 | 1.2 |
7歳以上(避妊・去勢なし)の中高齢犬 | 1.4 |
摂取カロリーとは
摂取カロリーというのは、犬が一日に食事やおやつから摂取するカロリーを指します。
摂取カロリーが必要カロリーを大きく上回れば、カロリーオーバーで肥満の原因となります。
反対に大きく下回れば、痩せすぎや栄養不足である可能性が高いと言えるでしょう。
ドッグフードのパッケージに記載された給餌量はあくまでも目安
愛犬にどのくらいのドッグフードをあげようかと思った場合、多くの方はドッグフードのパッケージに記載されてある体重別の給餌量を確認しているかと思います。
ですが、同じ犬種でも骨格や運動量もそれぞれ異なるため、必ずしも記載されている量が愛犬に合っているとは限りません。
パッケージに記載された給餌量が適正であれば問題ありませんが、BCSが「肥満」や「痩せ」の傾向にあった場合は食事の量を調整する必要があるでしょう。
必要カロリーに応じた与えるべきドッグフードの量は?
犬の必要カロリーを求めることができたら、主食であるドッグフードを与える量について確認して与えます。
ドッグフードのパッケージには、100gあたりのカロリーが記載されていることが多いので、計算で出たカロリーを参考に与えましょう。
また、主食の他におやつを与える場合は、1日に必要なカロリーの1割程度に抑え、それに応じて主食の量を減らすなどの調整が必要になります。
カロリーを減らしすぎるのは危険!
愛犬の体型チェックをして、「肥満かもしれない」と思ったらカロリー制限をしようと考えるでしょう。
ですが、急激に食事の量を減らしてしまうと、犬にストレスが溜まってしまったり、健康を損ねてしまったりする危険性もあります。
愛犬の食事を見直し、カロリーを抑えた食事が必要だと感じた場合は、様子を見ながら少しずつ減らすか、減らさずに低カロリーのドッグフードを選ぶなど、ストレスを与えずに肥満を解消する工夫をしましょう。
愛犬の健康のためには飼い主の意識が大事!
犬に与えるドッグフードの量やカロリーについて解説しました。
家族である愛犬に食事やおやつを与えると喜ぶので、ついつい与え過ぎてしまう、ということもあるかと思います。
ですが、人間よりも小さな犬にとって、少しの量を増やすだけでも食べ過ぎになることがあり、肥満につながってしまいます。
愛犬を肥満にさせないためには飼い主の努力や意識改革も大切なのです。
今回紹介したカロリーの目安は犬の体型や性別などによっても変わってきますので、参考にしながら適正な量の食事を与えるようにしましょう。
また、食事以外が肥満の可能性も否定できませんので、気になる場合は早めに動物病院に相談することをおすすめします。